帳尻ちやうじり)” の例文
店から現金げんきんで一萬兩も持出して、妾を二人もかこつて居りました。三右衞門が丈夫になつて、帳尻ちやうじりを見たら一たまりもありません。
十露盤玉そろばんだま筆先ふでさき帳尻ちやうじりつくろふ溝鼠どぶねづみのみなりけん主家しゆか一大事いちだいじ今日こんにち申合まをしあはせたるやうに富士見ふじみ西行さいぎやうきめ見返みかへるものさへあらざれば無念むねんなみだ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
叔父さんが、俵屋の帳尻ちやうじりを胡麻化して、しつかり溜めた上で、お辰さんと一緒になつて、大きな小間物の店を持つに違ひない——と、まあ、死んだ叔父さんのことを
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
昨夜帳尻ちやうじりをしめて現金百十二兩主人に渡し、主人はそれを空財布からさいふに入れてふところに入れたのを見てゐたのですが、死骸の側にはふり出した財布には、小粒で十二兩殘つてゐるだけ