帰宅かへ)” の例文
旧字:歸宅
このままにお傍離れて帰宅かへつた上、もしその素性構はぬといはるるならば私とて、無理に離れる気も抜けやう。さうした時は夫へ不貞、あなたには、かねてよりの御気性。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
最早もう奥様おくさんがお帰宅かへりになりませう。』とふさは驚いてめるやうに言つた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
をさなごゝろにも二度と帰宅かへつてくれなくてもよい
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
二三杯ぐい/\飲んでホツと嘆息ためいきをしたが、銀之助は如何どうかんがへて見ても忌々いま/\しくつてたまらない。今日けふ平時いつもより遅く故意わざと七時過ぎに帰宅かへつて見たが矢張やはり予想通りさい元子もとこは帰つて居ない。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これから帰宅かへれば三時過ぎ、寒い思ひをしたところで、ようこそお帰りなされしと、喜ぶ顔を見るではなし。冷たい蒲団は、あなたの御勝手。巨燵を入れて待つほどの、お心善しにはなれませぬ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)