こいねがわ)” の例文
こいねがわくは決して貴国臣民を罰することなくして私を相当の処分に付する手続きを尽すよう願いたい。それがために法王殿下が私を召喚しょうかんせらるるならば私は再び貴国に参ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
羽織をさばいた胸さがりの角帯に結び添え、こいねがわくは道中師の、上は三尺ともいうべき処を、薄汚れた紺めりんすの風呂敷づつみを、それでもしかと結んだと見えて、手まさぐると……
……ながむれば、幼い時のその光景ありさま目前まのあたりに見るようでもあるし、また夢らしくもあれば、前世がうさぎであった時、木賊とくさの中から、ひょいとのぞいた景色かも分らぬ。待て、こいねがわくは兎でありたい。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)