己等おのれら)” の例文
先頃越後國猿島さるしま河原よりあとくらましたる昌次郎夫婦の者はおや憑司とはかりてころせし男女の死體したい己等おのれら着物きものきせそれより信州の山路やまぢにかゝりしのび/\に江戸へ來りて奉公口ほうこうぐち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
他人に対してかゝる不敬の称号を呈するにさきだつて、己等おのれらかつて狂気せる事あるを自認せざるからず、又何時いつにても狂気し得る資格を有する動物なる事を承知せざるべからず
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、己等おのれらの用いられようとするのは己がために非ずして天下のため、道のためなのだと本気で——全くあきれたことに本気でそう考えている。乏しくとも常に明るく、苦しくとも望を捨てない。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
讀上たり因て大岡殿主税之助に向はれ只今たゞいま承まはる通り伴佐十郎建部郷右衞門の兩人より申立たり此儀このぎ如何いかゞやとたづねられければ主税之助首を上其の義は渠等かれら兩人盜賊に相違御座無く候處己等おのれらつみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)