巫術ふじゅつ)” の例文
元来巫術ふじゅつ文化の原始社会などでは成り立たない常識である。今日までこの見解は色々の方面から抗議を受けている。不躾なニーチェなどは有力な抗議者である。
そうだとすると、昔の主権者為政者のもとに祭官、巫術ふじゅつ師らの行なった仕事の一部は今日では彼らの後裔こうえいの科学者の手によって行なわれておるべきはずである。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
またその媼巫女うばいちこの、巫術ふじゅつ修煉しゅうれんの一通りのものでない事は、読者にも、間もなく知れよう。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかも因縁ばかり永く続いて人に信心のやや薄れた場合に、尋常一様の手段ではもと奉仕した神と別れることがむつかしかったということは、しばしば巫術ふじゅつの家について言い伝えられた話であった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
祭祀その他宗教的儀式と連関していろいろの巫術ふじゅつ魔術といったようなものも民族の統治者の主権のもとに行なわれてそれが政治の重要な項目の一つになっていたように思われる。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
三味線さみせんただ一ちょうを携えていずこよりともなく浜づたいに流れて来て、大野の浜にとどまった。しきりに城下を往来したが、医をよくし、巫術ふじゅつ、火術を知り、その頃にして、人に写真を示した。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)