川施餓鬼かわせがき)” の例文
なるほど、よろしゅうございます。では、これは隅田川すみだがわ川施餓鬼かわせがきのある時に川へ流すことに致しましょう。焼いて棄てるは勿体ない。
両国橋の脇から舟に乗っていったが、明日は回向院えこういん川施餓鬼かわせがきがあるそうで、たて川筋はどこでも精霊舟しょうろうぶねを作るのに賑わっていた。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
旦那だんな此方こっちだよ。……へい、それは流れ灌頂ではござりましねえ。昨日きのう盂蘭盆うらぼん川施餓鬼かわせがきがござりましたでや。」
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
江戸日本橋小網町こあみちょうの廻船問屋港屋太蔵みなとやたぞう方へ嫁に来ていて、夫婦仲もたいへんにむつましかったのだが、このお盆の十五日、ひわという下女を連れて永代へ川施餓鬼かわせがきに行った帰途かえりみち
「玉井さん、今年も、組合の「川施餓鬼かわせがき」をやりますか」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
しなに、川施餓鬼かわせがきで迷つた時、船頭が入れたかんてらの火よりさきに乗つて、舳にちよこなんと控へたのであつた。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八月二十八日、「川施餓鬼かわせがき」が、行われた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
連夜の川施餓鬼かわせがきは、善か悪か因縁があろうと、この辺ではうわさをするが、十年は一昔、二昔も前から七兵衛を知ってるものも別に仔細しさいというほどのことを見出さない。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)