崖縁がけぶち)” の例文
彼は、蛇籠じゃかご崖縁がけぶちから川洲かわすへ飛び降りて、瀬の狭くなる流れ口に足を踏み込み、いきなり、そこへ見えた黒いものをつかみました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな時も神頼み、で、わっし崖縁がけぶちをひょいと横へ切れて、のしこと地蔵様の背後うしろしゃがみ込んでのぞいたんで。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この家のそばに静かな光をたたえている黒い無気味な沼のけわしい崖縁がけぶちに馬を近づけ、灰色の菅草や、うす気味のわるい樹の幹や、うつろな眼のような窓などの
崖縁がけぶちの台つきの遠目金とおめがねの六尺ばかりなのに妹が立掛たちかかった処は、誰も言うた事ですが、広重ひろしげの絵をそのままの風情でしたが——婆の言う事で、変な気になりました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
空を仰いでいた老人は、すぐにうしろの崖縁がけぶちをのぞいて
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)