岸壁がんぺき)” の例文
かもめとびかう燈台とうだいのあたりをけて、船が岸壁がんぺきに向おうとすると、すでに、満艦飾まんかんしょくをほどこした歓迎船かんげいせんが、数隻すうせき出迎えに来てくれていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
かくて、かなりの暗黒あんこくをうねっていくと、やがてゆきどまりの岸壁がんぺきにぶつかった。あらかじめこうあることとは、石見守いわみのかみからもいわれてきた熊蔵くまぞう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あなたがあそこの岸壁がんぺきの下にいるガンどもをごらんにならないなんてはずがあるでしょうかねえ? それとも、あなたはあそこまでおりていらっしゃれないんですかい?」
品川の海に浮かんでいるお台場だいばが、一つ二つ三つ、五つ六つ並んで緑色の可愛かわいい置物のようだ。銀座、芝あたりの町は小人島こびとじまのようだし、芝浦の岸壁がんぺき碇泊ていはくしている汽船はまるで玩具おもちゃだ。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
彼は、今しも岸壁がんぺきをはなれて出港するらしい一隻の汽船に、気をひかれた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雪がとけるいまごろは、水がふえて、すさまじいいきおいで流れているのです。うしろには、とてもとおることのできない岸壁がんぺきがあって、その上には木の枝がおおいかぶさっています。