山童やまわろ)” の例文
そうして冬に近づく時それがことごとく水の畔を去って、山に還って山童やまわろとなると考えられ、夏はまた低地に降りくること、山の神田の神の出入と同じであった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
地女じおんなを振りも返らぬ一盛ひとさかり。)そいつは金子かねを使ったでしょうが、こっちは素寒貧すかんぴんで志を女郎に立てて、投げられようが、振られようが、赭熊しゃぐま取組とっく山童やまわろの勢いですから
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからずっと後の天明てんめい年間に書かれた橘南渓なんけいの「西遊記」にも、九州の深山には山童やまわろというものが棲んでいるの、山女やまおんなというものを射殺したという記事が見えるから、その昔の文禄年代には
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)