山嵐やまあらし)” の例文
赤シャツに勧められてつりに行った帰りから、山嵐やまあらしを疑ぐり出した。無い事を種に下宿を出ろと云われた時は、いよいよ不埒ふらちやつだと思った。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山嵐やまあらしのような風がにわかに出てきて、離れの二階の簾を時々捲きあげていたが、それもひとしきりであった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そんな礼儀れいぎを心得ぬ奴の所へ誰が遊びに行くものか。おれはこの時からこの坊主に山嵐やまあらしという渾名あだなをつけてやった。漢学の先生はさすがにかたいものだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よくまああんなにずうずうしく出来るものだ。これについては大分不平であるが、山嵐やまあらしの説によると、いくら一人ひとりで不平をならべたって通るものじゃないそうだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう一つ困るのは、松山中学にあの小説の中の山嵐やまあらしという綽名あだなの教師と、寸分すんぶんたがわぬのがいるというので、漱石はあの男のことをかいたんだといわれてるのだ。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)