居食いぐい)” の例文
居食いぐいをしていても詰らないから、確かな人があったら貸したいからどうか世話をしてくれって、今日頼まれて来たんです」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今の築地二丁目の出方でかたの二階へ引っ越して来た時には、女からもらった手切てぎれの三千円はとうに米屋町こめやまち大半あらかたなくしてしまい、のこりの金は一年近くの居食いぐいにもう数えるほどしかなかった。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
うまでもなく四人の口を過ごしかねるようになったので、大根畠に借家して半歳ばかり居食いぐいをしたが、見す見す体にかんなを懸けて削りくすようなものであるから、近所では人目がある
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)