屁古垂へこた)” の例文
一々事実にくっ付けて一分一厘すきのないようにキチキチとキメツケて行く苦しさに、いつも書きかけては屁古垂へこたれさせられてしまいます。
涙香・ポー・それから (新字新仮名) / 夢野久作(著)
読みかけてみたことはあるが、途中でウンザリして屁古垂へこたれてしまう。どうも本格の探偵小説は私の性に合わないらしい。
私の好きな読みもの (新字新仮名) / 夢野久作(著)
吾輩の本俸手当を全部タタキ込んでも建物の家賃と、タッタ一人の事務員の月給と、小使の給料に足りないのだから屁古垂へこたれたよ……実際……。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何とかとか弁解をする奴を相手の女学生と突合わせると、流石さすがに両方共一度に屁古垂へこたれてしまった。そこで厳重に将来を戒めて家庭に引渡した。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
大正十二年の夏まで、日本を背負って立つ意気を示しているかのように見えた江戸ッ子の、現在の屁古垂へこたれ加減を見よ。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
……こうしてその、時間も空間も超越した変態性慾の幽霊が、先刻も話した通り毎日毎日、当てなしの労働を続けて行くうちに、迫々おいおい屁古垂へこたれて来た。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
生れて初めて来た……知っている者が一人も居ない……西も東もわからない田舎の町でイキナリ新聞記事を探して来いと云われたら大抵の記者が屁古垂へこたれるだろう。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼等がこのパスを誇りとしていただけ、それだけ屁古垂へこたれ方もヒドかった。彼等はとうとうまずいものを喰って、安ッポい身のまわりで我慢する気になってしまった。
……だからモウすっかり屁古垂へこたれちゃったんです。編輯の給仕から、速記者から、社会部の外交まで通過して来るうちに、悪い事のアラン限りを遣り尽して来たんです。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし私は屁古垂へこたれなかった。よっぽど私立探偵に頼もうかと思ったが、この問題は絶対に他人にがしてはいけないと思ったので、どこまでも自分自身に調べて行った。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし私は屁古垂へこたれなかった。なおも二人の跡をうて船首の方へ行こうとすると、出会いがしらに二等運転手が船橋ブリッジから駈け降りて来た。見るとこれも顔の色を変えている。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
隅っ子の特別の金網に入れられて息も絶え絶えに屁古垂へこたれている汚ならしいフォックス・テリヤだ。見忘れもしないこの間、山木混凝土コンクリート氏の玄関前からさらった一件だ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
屁古垂へこたれたりしてスフィンクスに呪われないように——天狗かおかめかヒョットコなぞいうような馬鹿なお化けに取りつかれないように——人間一代の恥辱の姿にならぬように——
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これ程の豪傑、頭山満氏がタッタ一つ屁古垂へこたれた話が残っているから面白い。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ところが感心な事に、その劣等生氏は、それでも断然屁古垂へこたれなかった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
しなやかにという注文ですから職人もよっぽど屁古垂へこたれたことでしょう。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
とか何とか云いながら上席らしい胡麻塩ごましお頭の一人が改まって頭を下げ初めた。それに連れて二三人頭を下げたようであったが、内心ヨッポド屁古垂へこたれたらしいね。しかし吾輩はモウ欺されなかった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これに屁古垂へこたれる人間は浅草で物を喰う資格はない。
まあそう屁古垂へこたれるな……
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)