ナホ)” の例文
二人は、時々顔を見合せ、目くばせをしながらナホ、了解が出来ぬ、と言ふやうな表情をカハしかはし、馬の後を走つて行く。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
骨の節々の挫けるやうな、ウヅきを覚えた。……そうしてナホ、ぢつと、——ぢつとして居る。射干玉ヌバタマの闇。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
思ひがけない声を、ナホも出し続けようとする口を、押へようとすると、自身すらいとほしんで居た柔らかな唇は、どこかへ行つてしまつて、替りに、さゝやかな管のやうなクチバシが来てついて居る——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
永久トハにして ナホしはかなく、人は過ぎ行く
歌舞妓芝居後ありや (新字旧仮名) / 折口信夫(著)