小巾こぎれ)” の例文
風呂のきつけに使ふ大きな澁團扇しぶうちはの上に後生大事にのせたのは、成程小紋の跡も鮮やかに、灰になつた縮緬の小巾こぎれではありませんか。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
火鉢の灰かきならし炭火体よくけ、芋籠より小巾こぎれとり出し、銀ほど光れる長五徳を磨きおとしを拭き銅壺の蓋まで奇麗にして、さて南部霰地なんぶあられの大鉄瓶を正然ちやんとかけし後
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
二階へ登ると、其處は彌太郎お町の妹のお信の部屋で、十歳の小娘の好みらしく、小巾こぎれや人形や繪艸紙ゑざうしが、かなり贅澤に散らばつて居ります。
火鉢の灰かきならし炭火ていよくけ、芋籠いもかごより小巾こぎれとりいだし、銀ほど光れる長五徳ながごとくみがきおとしを銅壺どうこふたまで奇麗にして、さて南部霰地なんぶあられ大鉄瓶おおてつびんをちゃんとかけし後
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「行水が済んでから、家中を捜して見ましたが、売れ残りの小巾こぎれが少しあるだけで、何んにもありやしません」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
それは恐ろしく拙い字で、半紙一パイに書き埋めた、思ひのたけの文句で、くさ/″\の品は、お通の持物らしい、小巾こぎれや玉や、哀れ深い品々だつたのです。
「そんなことはないと思ひます、鼻緒のおちゝを、小巾こぎれで卷いて、目印しがありました」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)