小宮こみや)” の例文
いつか夏目先生生前のある事がらについて調べることがあって小宮こみや君と自分とでめいめいの古い日記を引っぱり出して比べたことがあった。
詩と官能 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
僕はいつか小宮こみやさんとかういふ芭蕉ばせをの句を論じあつた。子規居士しきこじの考へる所によれば、この句は諧謔かいぎやくろうしたものである。僕もその説に異存はない。
文章と言葉と (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼の家から裏の方へ百歩往けば、鎮守八幡ちんじゅはちまんである。型の通りの草葺の小宮こみやで、田圃たんぼを見下ろして東向きに立って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
小宮こみや先生の紹介で鈴木三重吉すずきみえきち氏の未亡人の方から、『赤い鳥』に昔出ていた通俗科学の話をまとめて、一冊の本にしたいから、その校訂をしてくれというお話があった。
「茶碗の湯」のことなど (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
私もこの問題については自分の専門の学問のほうからも特別の興味を感じたので、それについての私の考えを、その後小宮こみや君に話した事があった。
伊吹山の句について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
やがて、霊柩車れいきゅうしゃが来る。続いて、一般の会葬者が、ぽつぽつ来はじめた。休所の方を見ると、人影がだいぶんふえて、その中に小宮こみやさんや野上のがみさんの顔が見える。
葬儀記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
同じ汽車で小宮こみやさんも仙台へ帰られたので、途中色々先生の追想を御伺いする機会を与えられた。
指導者としての寺田先生 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
そのときに小宮こみや君からよこしてくれた先生の宿の絵はがきをゲッチンゲンの下宿で受け取ったのであった。
夏目漱石先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
以前から、東京への往き帰りに、時々仙台で下車しては、小宮こみやさんのところで一泊して休ませてもらって来ることがあった。南画が始まってからは楽しみが一つえた。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ところが、仙台で小宮こみやさんの御宅おたくを訪ねた時に、丁度水曜の面会日に当ったことがある。
語呂の論理 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
小宮こみや君は葡萄一株拾ったそうだが、僕は小鳥を一羽拾った。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
漱石そうせき弟子の一人であって、とくに小宮こみや豊隆とよたか)さんや、森田もりた(たま)さんなどと、親しくしていたそうである。私も二十年前に、巴里パリでエリセーフ氏に大分厄介になったことがある。
日本のこころ (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)