小倉おぐら)” の例文
青い小倉おぐらの職工服に茶色のオーヴァを羽織はおっていたが、オーヴァのボタンは千切ちぎれかかって危うく落ちそうにぶらぶらしているし
「それから、早瀬はやせ時計店の盗難、小倉おぐら男爵家の有名なダイヤモンド事件、北小路きたこうじ侯爵夫人の首飾り盗難事件、……」
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
伝馬は米、砂糖、肥料、小倉おぐら石油などを積んで、両国からと江戸川からと入って来るのだった。舟にモータアもなく陸にトラックといったものもまだなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
第二は卑俗なる俳優の画帖がじょうを作るに画工は『小倉おぐら百人一首』の如き古典の体裁を取りたる事なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ブリッジにいたコーターマスターの小倉おぐらが、何かわからぬことを、からだじゅうで怒鳴りながら、物すごい勢いでブリッジから飛びおりて来て、サロンデッキをともの方へかけて行って
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
よいから矢来やらいの婆さんのところの小倉おぐらの隠居に頼んでおいて荷物を運んでもらった。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
忽ちのうちに金に詰まり初め、御書院番のお役目の最中は、居眠りばかりしていながらに、時分を見計らっては受持っている宝物棚の中から、音に名高い利休の茶匙ちゃさじ小倉おぐらの色紙を初め、仁清にんせい香炉こうろ
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わが恋は、小倉おぐらの里のひる霞
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)