宿駕籠しゅくかご)” の例文
「お前たちが甲州まで続かなければ、甲州街道を行けるところまで走ってくれ、そこで宿駕籠しゅくかごに移るとしよう」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あの宿駕籠しゅくかご二十五ちょう、山駕籠五挺、駕籠桐油とうゆ二十五枚、馬桐油二十五枚、駕籠蒲団ぶとん小五十枚、中二十枚、提灯ちょうちんはりと言ったはもはや宿場全盛の昔のことで
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御用の諸家休泊年内旅籠はたごの不足銭、問屋場の帳付けと馬指うまさしおよび人足指にんそくざし定使じょうづかいらへの給料、宿駕籠しゅくかごの買い入れ代、助郷人馬への配当、高札場ならびに道路の修繕費
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「中山殿はじめ、松本奎堂、藤本鉄石、吉村寅太郎の領袖りょうしゅうは、あれから宿駕籠しゅくかご鷲家わしや村まで行った、それから伊勢路へ走ると先触れを出しておいて、不意に浪花なにわへ行く策略であったがな」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一、宿駕籠しゅくかご桐油とうゆ提灯ちょうちん等、これまでのもの相改め、これまたしかるべく記入のこと。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この人がのがれる時には、宿駕籠しゅくかごに身を投げ、その外部をむしろでおおい、あたかも商家の船荷のように擬装して、人をして海岸にかつぎ出させ、それから船に乗って去ったというくらいだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)