容貌魁偉ようぼうかいい)” の例文
この二つの黒法師は、黒法師っぷりとしてかえって調和がありました。田山白雲はすぐれて容貌魁偉ようぼうかいいであるのに、柳田平治は普通よりは小柄です。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それからのち二年の春、宗は小児を連れて済南さいなん章丘しょうきゅうへゆくと、路で胡服こふくをきた一人の僧に逢った。僧は容貌魁偉ようぼうかいいともいうべき人で、宗にむかって突然に訊いた。
何しろ、容貌魁偉ようぼうかいい、異様な酔っぱらいが、愉快だ愉快だと、毎日町じゅうをねって歩くんですから。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
飛ばしてきた古色蒼然そうぜんたるロオドスタアがキキキキ……と止って、なかから、煙草たばこきだし、禿頭はげあたまをつきだし、容貌魁偉ようぼうかいいじいさんが、「ヘロオ、ボオイ」としゃがれた声で、呼びかけ
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
その中に一人、容貌魁偉ようぼうかいいにして、ももより下、両脚が切断されて無いという人物が混っていたそうだが、そういうはなしを貴公は聞いたことがないか。なんのためのひめたる団体葬儀であろうか。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それ等の人々は脂粉の気が立ちめている桟敷さじきの間にはさまって、秋水の出演を待つのだそうである。その中へ毎晩のように、容貌魁偉ようぼうかいいな大男が、湯帷子に兵児帯へこおびで、ぬっとはいって来るのを見る。
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)