女二にょに)” の例文
みかどからは普通の父親のように始終尼宮へお手紙で頼んでおいでになるのでもあって、薫は女二にょにみやをたいせつな人にはしていた。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女二にょにみやが死んだ恋人によく似ておいでになったならその時はうれしいであろうがとさすがに否定をしきっているのでもない中納言であった。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
どちらつかずの境遇になったと思いながら、子供たちをそばへ寝させて大将は女二にょにみやの御様子も想像するのであった。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
反魂香はんごんこうの煙が描いたという影像だけでも見る方法はないかとこんなことばかりが薫には思われて、女二にょにみやとの結婚の成立を待つ心もないのである。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今になって隠れた妻のあったことをみかどもお聞きになり、そうした人を深く愛していたのであろうが、女二にょにみやへの遠慮から宇治などへ隠しておいたのであろう
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
夫人の女二にょにみやをおかわいそうにばかり思われる衛門督は、助からぬ命にきまった今になって、ここへ宮がおいでになることは軽々しく世間が見ることであろうし
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女二にょにみやはどんなに悲しんでおいでになることだろう。その当時はよくわからなかったが、近年になって事に触れて私の見たところではあの御息所は相当にりっぱな人らしい。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この人の婚約者の女二にょにみや裳着もぎの式が目前のことになり、世間はその日の盛んな儀礼の用意に騒いでいる時であって、すべてをみかど御自身が責任者であるようにお世話をあそばし
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
などと言いながらも夕霧は、女二にょにみやの御良人となることも堅く期しているのであるから、深く弁明はしようとしないのであった。乳母めのと大輔たゆう気術きじゅつながって何も言おうとしなかった。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
夫人の女二にょにみやを大将がどんなに尊重して暮らしているかというようなこともお聞かせになった。宇治の橋姫を思いやった口ずさみはお伝えにならぬのも利己的だと申さねばならない。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それに新婚者の女二にょにみや派手はでな御賀をおささげになった時に、老人の妻であるあなたが競争的に出て行くのは遠慮すべきだと思いましたよ。十一月はあなたのお母様の忌月でしょう。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
一人の夫人の忠実な良人りょうじんという評判があって、品行方正を標榜ひょうぼうしていた源左大将であったが、今は女二にょにみやに心をかれる人になって、世間体は故人への友情を忘れないふうに作りながら
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「大将さんというのは今の女二にょにみやのたしか御良人ごりょうじんでいらっしゃる方ですね」
源氏物語:56 夢の浮橋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御寺みてらの院は女二にょにみやもまた不幸な御境遇におなりになったし、入道の宮も今日では人間としての幸福をよそにあそばすお身の上であるのを、御父として残念なお気持ちがあそばすのであるが
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
結婚をさせるのであったら普通人の忠実な良人おっとを宮のために選ぶべきだったとお言いになり、女二にょにみやはかえって幸福で将来が頼もしく見えるではないかと仰せられたということを私は聞いて
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
夫人の女二にょにみやには敬意を払うふうに見せながらも、打ち解けた良人おっとらしい愛は見せないのである。督は夫人の宮のそばでつれづれな時間をつぶしながらも心細く世の中を思っているのであった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)