ちか)” の例文
もしまたこれらの原則に則るならば、救いはちかわれていることを深く信ぜよ、いかにそれがこの世において認められないものであっても。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そのほか、徳川古参の重臣の子たちを、質子ちしとして、大坂へ送る以上、これは明らかに、敗者のちかいだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口早に、あらかじめちかった晩飯ばんの場所と、火事は我が家、我が家には直面しない事と、久しぶりなる故郷の山に、心しずかに一人したしむこととを言置いたのは言うまでもない。
この壇上からちかうものである……
これに比べますと他力の道は、衆生のために備えられたもので、愚かな者、鈍き者といえども、この力に打ち任せれば、救いがちかわれているのであります。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
救いはちかわれているのであるから、いたずらに美と醜との争いに身を投げるなというのである。それも救われるべき資格を持てと求めているのではない。不完全な人間に何の完全な資格があり得よう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ある人はなおもこうなじるであろう。凡ての者が救われるとちかわれていたとて、この世には幾多の凡庸な者があって、世を醜くしつつあるではないか。どうして彼らが救われないままで残っているのか。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)