奈良漬ならづけ)” の例文
西瓜は奈良漬ならづけにした鶏卵たまごくらいの大きさのものを味うばかりである。奈良漬にすると瓜特有の青くさい匂がなくなるからである。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
南瓜たうなすを、かぼちやとも、勿論もちろん南瓜たうなすともはずみなぼぶら。眞桑まくはを、美濃瓜みのうり奈良漬ならづけにする淺瓜あさうりを、堅瓜かたうり堅瓜かたうりあぢはひよし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のんびりした春の陽ざしの中に、銭形平次も年始疲れの、少し奈良漬ならづけ臭くなった足腰を伸して、寝そべったまま煙草のけむりの行方を眺めていたのです。
大晦日おおみそかも、元日も、そこで越して奈良漬ならづけのように露八はつかっていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のんびりした春の陽ざしの中に、錢形平次も年始疲れの、少し奈良漬ならづけ臭くなつた足腰を伸ばして、寢そべつたまゝ煙草のけむりの行方を眺めて居たのです。
はさみをモギ取る時、奈良漬ならづけ臭いのをウンと吹掛けられましたよ」