奇天烈きてれつ)” の例文
「たしか昨夜も、今朝もジャガいもばかり喰っていたかな。——道理で胸の具合が変挺へんてこで、酒のき目が奇天烈きてれつになったのかしら?」
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)
さて落語家——寄席芸人という奇天烈きてれつな門構えの前までやってくると、妙に玄正の心はグッタリと萎えてしまい、思い切ってその門叩き
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
これに加うるに有難屋ありがたやの宣伝もありという塩梅あんばいで、ずいぶん共にオカカの感心、オビビのビックリに価する、奇妙奇天烈きてれつな記録の内容でげしょう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ええありません、そんな奇天烈きてれつなまやかしものは、あっしゃあでえ嫌えでね、憚りながらこれでも辻駕を
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
フォークをひっくりかえして無理にむつかしく御飯をのせて変てこな手つきで口へ運んで、それが礼儀上品なるものと考えられてうたぐられもしない奇妙奇天烈きてれつな日本であった。
デカダン文学論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
大層えかい奇天烈きてれつなあわてかたでしたぜ。
ああ戦争、この偉大なる破壊、奇妙奇天烈きてれつな公平さでみんな裁かれ日本中が石屑だらけの野原になり泥人形がバタバタ倒れ、それは虚無のなんという切ない巨大な愛情だろうか。
白痴 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
珍妙奇天烈きてれつな二人行列。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)