太陽てんとう)” の例文
太陽てんとう様が黄色きんなく見えて、生汗なまあせが背中を流れて、ツクツク魚売人さかなうりの商売が情無なさけのうなります。何の因果でこげな人間に生れ付いたか知らん。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……山や川や草や木や、お月様やお星様や、お太陽てんとう様と同じなのだよ。……でもお前達とは逢えないでしょうよ。……別の世界に住むのだから。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「はははは。ここでは、武器のお風入れ。水分みくまりでは雨のお祈り。これでは、ひでり太陽てんとうも、どっちへ加担してよいやら、迷うわけでおざりますわい」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ええ、何をするだ、あやかしめ、また拡がったなッて、みんなくそ焼けに怒鳴ったっけえ。そうじゃねえ、東の空さお太陽てんとうさまがあがらっしたが、そこでも、あねさん、天と波と、上下うえしたへ放れただ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『私よりお太陽てんとうさんの方が強いよ、あいつは私を融かしてしまふからね。』
いや、太陽てんとうの、きものを編んでいるだけでない。
やぶや河原に、喰えるンの芽がでるくらいならよ、おらたちゃあ、太陽てんとうさまに腹あ干して、笛ふいて暮らすがよ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほう、太陽てんとうの、きものをそらで編んでるぞ
太陽てんとうさまおかげだね。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「無慈悲な太陽てんとう……」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)