大澤たいたく)” の例文
新字:大沢
我は羅馬以北の景を看て、そのおほむね皆陰鬱なるに驚きぬ。大澤たいたくの畔の如くならず、テルラチナなる橄欖の林の棕櫚しゆろを交へたるが如くならず。
こと朝日島あさひじま紀念塔きねんたふ設立せつりつ顛末てんまつ——あの異樣ゐやうなる自動冐險車じどうぼうけんしやが、縱横無盡じうわうむじんに、深山しんざん大澤たいたくあひだ猛進まうしんしたる其時そのとき活劇くわつげき猛獸まうじう毒蛇どくじやとの大奮鬪だいふんとう武村兵曹たけむらへいそう片足かたあしあぶなかつたこと
白晝まひるとなりてより、我無聊は愈〻甚だしければ、又車を驅りてこゝを立ち、一の平原に入りぬ。緑草の鬱茂せるさまはポンチニイの大澤たいたくに讓らず。
路は山の脊に出でゝ、裸なる巖にはすこし許りなる蔓草つるくさ纏ひ、灰色を帶びて緑なる亞爾鮮アルテミジアの葉は朝風に香を途りぬ。空には星猶輝けり。脚下には白霧の遠く漂へるを見る。是れ大澤たいたくの地なり。