大扉おおど)” の例文
いつの間にやら二人は、土蔵の奥の一室に閉じ込められて恐ろしく巌丈がんじょう大扉おおど背後うしろとざされているのに気が付きました。
鐘が鳴りやむと、玄関の大扉おおどが閉った。椅子にいる顔が、いっせいに薄闇のなかに沈み、天井から釣りさがった大枝燭台と内陣の蝋燭の火が、浮きたつような明るさでゆらめきだした。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
広間サロンを横切ると、楽のは十字架と楯形たてがたの浮彫のついた大扉おおどの彼方に迫っていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ヨハンネス・フリイデマンの育った灰色の破風家はふやは、この古い、やっと中ぐらいな商業都市の、北に寄った都門のそばにあった。大扉おおどを入ると、ひろやかな、床石を敷きつめた玄関に来る。
と、一応、むりに抑えて、大扉おおどのかんぬきを抜き、八文字に開け放してから
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大扉おおども閉まっている。風もよく通る。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)