大患たいかん)” の例文
長嶋を平定して、まず東海道から伊勢にわたる多年の大患たいかんをとりのぞくと、翌天正三年の二月二十七日には、上洛の途にのぼっていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分ももう四十三歳だ、一度大患たいかんかかった身ではそう永くも生きられまい。娘の愛にもかされる。九州の土地でたとえ職工をしてでも自活し、娘を引き取って余生を暮したい。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
数百年来どんな国家の大患たいかんという時でも、彼らは、自分たちの特権を汲々きゅうきゅうと守ることしか知らぬ。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでにその水泊の賊徒は、先には済州で官軍に手抗てむかい、江州無為軍むいぐんでも大騒擾だいそうじょうをおこし、以後いよいよ、賊寨ぞくさいを強大にしておるもの。いまにしてたいらげずば、国の大患たいかんとなりましょう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よろしくここは大策を立て、織田倒るるか、武田つか、乾坤一擲けんこんいってきのお覚悟をしかとすえられ、大軍をもって盟国の急を救い、あわせて年来の大患たいかんを一挙にお除きあるべきかと信じます
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)