大名たいめい)” の例文
その苦労はほとんど天下に大名たいめいをなしたものの、堅忍苦耐したくらいなもんだよ、その閲歴えつれきに対する報酬として、ただ、ひたすら
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
兎やかう思案の果、さる人から平次殿の大名たいめいを承はり、良き智慧を拜借に參つたやうなわけぢや——
の侍、いかなる身元かと言うと、当時時めく名医、典薬左井黙庵てんやくさいもくあんの次子、不二之進ふじのしん、代々の医業を嫌って、菱川ひしかわ派の流れを汲んだ浮世絵ぶりに大名たいめいせ、雅号を露月ろげつと名乗って
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ここに於てか、征馬鉄蹄せいばてつていに世界を蹂躪じうりんし、大名たいめい長く青史せいしを照せる一世の雄傑アレキサンドルも、つひに一語の発すべきなく、静かにひざまづいて彼のあかづける手をり、慇懃いんぎんに其無礼を謝したりと云ふ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)