外寇がいこう)” の例文
かつて一度も外寇がいこうを受けない、信玄治下の甲府城下は、思いもよらない悪病のために、さいなまれなければならなかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
アイヌの遊牧にまかせていたこの島は、外寇がいこうと植民の足だまりになるよう立てなおさなければならない。そういう地の利がこの場所であるというのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
敵国外寇がいこうなければ国たちまち滅びるということは、人間の国にも猿の団体にも同様にあてはまる文句である。
動物界における善と悪 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
しかしながら、すぐさま内乱は生じ、外寇がいこうはおこり、国民統合の完成というほどまでにはならなかった。
加うるに、薩州長州においては夷船えびすぶね打ち払い等これあり、公辺においてもいよいよ攘夷御決定との趣にも相聞こえ、内乱外寇がいこう何時なんどき相発し候儀も計りがたき時節に候。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
気候のために阻礙そがいせらるるのうれいなく、また海は天然の城・とりでなるがゆえに、外寇がいこうの危難おのずからまれに、したがって兵籍に編入するを要する人口の割合またおのずから少なく
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかるに、王政は外敵であり、圧制は外敵であり、神聖なる権利(訳者注 専制君主の所謂)は外敵である。専制が人の精神的国境を侵すのは、あたかも外寇がいこうが地理上の国境を侵すと同じである。