士分しぶん)” の例文
元和げんな慶長けいちょう兜首かぶとくびを取って二百五十石、それ以来、知行が上ったことがない。式目しきもくおもてでは、士分しぶんの者三人を召抱えていなくてはならぬが、妻子五人が食べ兼ねるでのう。
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「無事に勤めができれば士分しぶんになれるが、貴女がたがそんなことで騒いだりすると、士分になるどころか、扶持ふちを召放されるかもしれない、どうかそんな評判はしないようにして下さい」
一を聞いて十を知るというさいけた天性はその頃から見えていた。光圀が知っていたくその才を愛し、のち老女の藤井の養子にさせて小姓として側におき、順次士分しぶんに取りたてて来たものであった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
士分しぶんの者でも馬から降りて通ったそうであります
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)