“塞(とりで)” の例文
「温めて永い間生かしてやる。塞(とりで)のぼろ屑(くず)をみんな持って来い、温めてふとらせてやる。貝ノ馬介が死んで生れて来たのだ。」
私は彼のことを自然がその英雄達——基督教徒(キリストけうと)と異教徒の——その立法者、その政治家、その征服者達を創造(つく)り出した材料で出來てゐる人だと考へた。巨大な利害を擔ふべき頑丈な塞(とりで)。
春近くふたたび媼(おうな)が登山して来た時、袴野は媼を塞(とりで)の外に連れ出してきびしい質問を続け、媼は懐妊に不思議のないことを告げた、袴野はそれが孕(はら)んだ月をつぶさに聞き取り
すてが再び塞(とりで)の前に立って、例の手を拱(こまぬ)いて見やった時に、迥(はる)かな山平に袴野ノ麿と貝ノ馬介とが、みやこの先刻の女を間に置いて、なにか問答の渡り合いでもしているふうであった。