場面シーン)” の例文
こんな場面シーンがツルゲニエイフの「處女地」だつたか「貴族の家」だつたかにあつた、な。瞬間そんな考がちらと頭の中を過ぎる。
砂がき (旧字旧仮名) / 竹久夢二(著)
満面に憎悪の色をみなぎらしたと云うのは、そのラヴェンナ城の悲劇に、クリヴォフ事件を髣髴ほうふつとさせる場面シーンがあったからだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
而も彼女の弁解——あの場面シーンの中心問題——に再び触れることは、益々お互の心を遠ざけるもののように感ぜられた。
理想の女 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
彼女は、この間の晩、その秘密な場面シーンを盗まれたせつなに浴びたマグネシュウムの閃光せんこうを、今また、驚愕の後頭部によみがえらせて、眼がぐらぐらとして来た。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(30) ゲーテの戯曲『エグモント』の場面シーンのための作曲は一八〇九年に始められた。
自分に対するお秀の態度を平生から心得ていた彼女も、まさかこんな場面シーンでその相手になろうとは思わなかった。相手になったあとでも、それが偶然のまわあわせのように解釈されるだけであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、その場面シーンは、なかなかに、啓吉の頭を去らなかった。
死者を嗤う (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「これが推摩居士なので御座います」と、この凄惨な場面シーンに適わしからぬような、恍とりとした声で、盤得尼が云った。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
皆さんは、よくこうした場面シーンを映画でご覧になる。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)