場塞ばふさ)” の例文
「せっかく親爺おやじ記念かたみだと思って、取って来たようなものの、しようがないねこれじゃ、場塞ばふさげで」とこぼした事も一二度あった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
君おれたちは、善男善女でもこれで地獄は一遍たっぷり通って来た人間たちだよ。だが極楽もあまり永く場塞ばふさぎしては済まないと思って、また地獄を
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
折角せつかく親爺おやぢ記念かたみだとおもつて、つてやうなものゝ、仕樣しやうがないねこれぢや、場塞ばふさげで」とこぼしたことも一二あつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はじめて気の付くのは、いつぞや京都の春で、二回会ったきりの画家と歌人夫妻のいった言葉だ。「おれたちは、極楽の場塞ばふさげを永くするのも済まないと思って、地獄の席を探しているところだ」
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)