国訛くになまり)” の例文
旧字:國訛
が、小店だと、相手が越後の国蒲原郡何村かんばらごおりなにむらの産の鼻ひしゃげか何かで、私等わしらが国さでと、未だ国訛くになまりが取れないのになる。往々にして下女にも劣る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
とお倉はいくらか国訛くになまりの残った調子で言った。この嫂はひどく宗蔵を忌嫌いみきらっていたが、でも話相手には成る。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「これは僕のいもとだ」という言葉を用いた。宗助は四五分対坐して、少し談話を取り換わしているうちに、御米の口調くちょうのどこにも、国訛くになまりらしいおんまじっていない事に気がついた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こう女教師は庭に立って、何処か国訛くになまりのある調子で言った。その時三吉は、簡単にお房の病気の経過を話して、到底助かる見込は無いらしいと歎息した。お延も縁側に出て、二人の話に耳を傾けた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)