四布蒲団よのぶとん)” の例文
旧字:四布蒲團
足の踏み立て場もなくちらかしたまん中に、四布蒲団よのぶとんの柏餅から毛脛を二本投げ出して、夜出歩く左膳はこうして昼眠っているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大華表おほとりゐの下には既に舟の支度で出来て、真中の四布蒲団よのぶとんの上に、芝居で使ふやうな小さな角な火鉢が置かれてあるのをかれは目にした。
船路 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
と云いながら、ずか/\と慈悲容赦なさけようしゃも荒々しく、二枚折にまいおり反故張屏風ほごばりびょうぶを開け、母の掛けて居りまする四布蒲団よのぶとんを取りにかゝりますから
辞退したがかないで、床の間のわきの押入から、私の床を出して敷いたあとを、一人が蚊帳を、一人が絹の四布蒲団よのぶとんを、明石と絽縮緬ろちりめんもすそからめて、蹴出褄けだしづま朱鷺色ときいろ、水色
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やむなくかれは米ずしから四布蒲団よのぶとんを一枚借りることにした。その日の日記に、かれは「今夜よりやうやく暖かに寝ることを得」と書いた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
枕は袖の下に一個ひとつ見えたが、絹の四布蒲団よのぶとん真中まんなかへ敷いた上に、掛けるものの用意はなく、また寝るつもりもなかったらしい——貴婦人の膝に突伏つっぷして、こうぐっとかいなつかまって
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うしておくれな、私も淋しくっていけないから、私のネこの上掛うわがけ四布蒲団よのぶとんを下に敷いて、私の掻巻かいまきの中へお前一緒に這入って、其の上へ五布蒲団を掛けるとあったかいから、一緒にお寝な
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)