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嚮
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む
ふりがな文庫
“
嚮
(
む
)” の例文
好運が急角度で自分の方に
嚮
(
む
)
きかえり、時節が到来したように思われ、大島の
対
(
つい
)
の不断着のままの銀子を料亭の庭の松の
蔭
(
かげ
)
に立たせて
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
四五年前までは、まだ和蘭陀から持て来た、小い黄いろな煉化石で積み上げた、格子窓の附いた、屋根の正面に破風を造つた、その上に風の
嚮
(
む
)
きを知らする鶏が立つて居る家が、沢山残つて居ました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
夏の半ば過ぎに、お銀たちの近くのある静かな町で、手ごろな家が一軒見つかったころには、二人の心はまた新しい世帯の方へ
嚮
(
む
)
いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
目が始終前の方へ
嚮
(
む
)
いていたが、そのころ時々幼い折の惨めな自分の姿や、
陰鬱
(
いんうつ
)
な周囲の空気を振り
顧
(
かえ
)
るようなことがあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何を考えるともなく、
歩
(
あし
)
が
自然
(
ひとりで
)
に反対の方向に
嚮
(
む
)
いていたことに気がつくと、急に
四辻
(
よつつじ
)
の角に立ち停って
四下
(
あたり
)
を見廻した。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
笹村は時々そういう方へ気が
嚮
(
む
)
いて行った。物欲の盛んな今までの盲動的生活に堪えられないような気もした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし其と同時に、余り自分を卑下しすぎたり、彼の心の確実さを疑ひすぎるやうな気がして、
折角
(
せつかく
)
嚮
(
む
)
いて来た幸運を、取逃してしまつたやうな寂しさを感じた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし養父のその考えが、段々
分明
(
はっきり
)
して来たとき、お島の心は、
自
(
おのずか
)
ら生みの親の家の方へ
嚮
(
む
)
いていった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「住替えは赤坂に限る。赤坂へ住み替えれば運は必ず
嚮
(
む
)
いて来るのう。ほかはいかん。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
嚮
漢検1級
部首:⼝
19画
“嚮”を含む語句
嚮導
嚮後
意嚮
方嚮
嚮導者
帰嚮
嚮導艇
嚮導隊
嚮者将軍徳川慶喜
嚮背
影嚮石
御嚮導
御意嚮
扶掖嚮導
文嚮