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唆
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け
ふりがな文庫
“
唆
(
け
)” の例文
その言葉と一種のにやにや笑いとがおれを
唆
(
け
)
しかけたんだ。おれは自分でも
吃驚
(
びっくり
)
したんだが、かっとのぼせたみたようになって
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あれサ、あたしゃ御新さんを
唆
(
け
)
しかけていたんだよ。ねえ御新さん、久しぶりですもの。しっかり可愛がってお
貰
(
もら
)
いなさいよ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼は何かに
唆
(
け
)
しかけられてでもいるかのように絶えず身体を動かしながら響のある声で語った。だが、それはほんの数分間に過ぎなかった。
運命について
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
旦那がやかましく仰しゃりゃ、またこしらえさせますからさって、
唆
(
け
)
しかけたものでさあ
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「丹三郎はまずともかく、七十郎の死は誤っている、彼は侍の意地とか面目とか、本分などということで自分を
唆
(
け
)
しかけた」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
もう一度自分の部屋を見ておこうという気持に
唆
(
け
)
しかけられて、扉をあけるとボーイの笹尾が私のうしろに立っている。
十三夜:――マニラ籠城日記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「そうじゃ。そうじゃ」日向一学が、止せばいいのに背後のほうから
唆
(
け
)
しかけて、「
髷
(
まげ
)
を掴んで引き起すのじゃ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして勇気をだしてやってみろと
唆
(
け
)
しかけたのです、初めは信じなかったんですが、恋に眼も昏んでいたし、ごらんのとおりの愚直者ですから
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは何か異常な衝動に
唆
(
け
)
しかけられているもののように彼の耳に迫ってきた。その鳴声は彼の心に生々しい性慾を喚び起した。彼は力無く蒲団の上にぐったりと
横
(
よこた
)
わっている妻の姿を想像した。
河鹿
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
自分を
唆
(
け
)
しかけながら、主人の居間と思われる部屋の表へ来ると、廊下へ
跼
(
かが
)
んで静かに障子を引き明けた。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
という気持に
唆
(
け
)
しかけられたことが
動機
(
どうき
)
を成している。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
思わずこう呟いて頭を振り、笠の前を下ろしながら、
唆
(
け
)
しかけるような足どりで彼は急ぎだした。
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
良江の口ぶりは彼を止めるのではなく、
唆
(
け
)
しかけるように聞えた。もちろん、彼女にそんな意志はない、亭主が酔いすぎているから、いってもむだだとわかっていたのである。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その回想に
唆
(
け
)
しかけられるかのように、六兵衛は大きく、あぐらをかいて坐り直した。
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お紋はいないだろうが、雨で藤七老人は家だろう、このあいだ酒の馳走になったままだ、色いろな理由が彼を
唆
(
け
)
しかけた。彼は
辻
(
つじ
)
を右へ曲って、こんどは足ばやに徳右衛門町のほうへ急いだ。
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おなつは、寧ろ自分で自分を
唆
(
け
)
しかけながら、その機会の来るのを待った。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そういう風に自分を
唆
(
け
)
しかけていた、八両なにがしという借金を返し、着物も二枚、三枚と作れるようになったのは、十八になった今年の春からだった。そこへ梶井半之助が現われたのである。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
唆
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“唆”を含む語句
教唆
示唆
教唆罪
示唆的