周匝めぐり)” の例文
扨て例の岩の裂け目を通り越して見ると、こゝは一つの岩窟いはむろです。窟の形は劇場の桟敷に似て居て、その周匝めぐりは急な崖です。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
周匝めぐりには五六人の男の兒が立つて居て、何か祕々ひそ/\と囁き合つて居る。白玉殿前、此一點の醜惡! 此醜惡をも、然し、自分は敢て醜惡と感じなかつた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
榛軒は関帝を祭る日に、客に卓子しつぼく料理を饗した。円卓の一脚に機関があつて回転するやうにしてあつた。中央に円い皿一枚、周匝めぐりに扇形の皿八枚を置いた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
圖の下の端なる死人の起つあたり、ふなよそひせる羅刹らせつの罪あるものをき去るあたりは、早や暗黒裡に沒せるに、基督とその周匝めぐりなる天翔あまがける靈とは猶金色に照されたり。
周匝めぐりには五六人の男の児が立つて居て、何か秘々ひそひそと囁き合つて居る。白玉殿前はくぎよくでんぜん、此一点の醜悪! 此醜悪をも、然し、自分は敢て醜悪と感じなかつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
若く美しき女子も二人ふたり三人みたり見えたるが、その周匝めぐりには少年紳士むらがり立ちて、何事をか語るさまなりき。
門を出て、昔十分休毎によく藻外と花郷と三人で樂しく語り合つた事のある、玄關の上の大露臺だいバルコニイを振仰いだ。と、恰度此時、女乞食の周匝めぐりに立つて居た兒供の一人が、頓狂な聲を張上げて叫んだ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
櫛形の迫持せりもち八十ありて、これをめぐれば千六百四十一歩。平地の周匝めぐりには八萬六千坐を設け、頂に二萬人を立たしむべかりきといふ。今はこゝにて基督教の祭儀を執行せしむ。バイロン卿詩あり。
門を出て、昔十分休毎によく藻外と花郷と三人で楽しく語り合つた事のある、玄関の上の大露台だいバルコニイを振仰いだ。と、恰度此時、女乞食の周匝めぐりに立つて居た児供こどもの一人が、頓狂な声を張上げて叫んだ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)