吏員りいん)” の例文
これからそっと自分が御所の吏員りいんへ訴えに行き、ふたりの身を穏便のうちに内裏だいりへ帰してもらうように頼もう——というのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼等は夫々それぞれ大使館の下級吏員りいんに、或は大使邸の書生、下男などに変装して、大夜会場の内外を警戒する手筈になっていた。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そこからは吏員りいんの事務をとっているへやが硝子窓をとおしてはっきりと見えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それから、衛府の番小屋に入って、ほかの同役の者たちと笑いさざめいていると、大宿直おおとのい公卿くげから下役の吏員りいんが駈けてきて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんのことじゃ、これでは、よけいに繁雑になるばかりではないか」院の吏員りいんたちは、よけいに、方針の混乱をきたして、悲鳴をあげた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
押司おうしとしては、役署向けの評判もよく、この人に限っては、吏員りいんにありがちな汚職めいた蔭口も聞かれなかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕閣の吏員りいんも、町人たちも、侍も、想像外に、えきっております。むろん、武士道などは、寛永元和の頃に、置き忘れてしまっています。威を張るのは、ただ金です。その金を支配する大町人です。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、下部の吏員りいんへ、はかってみた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)