きッ)” の例文
見ると向う廊下の東雲しののめの室の障子が開いていて、中から手招ぎする者がある。それは東雲の客のきッさんというので、小万も一座があッて、戯言じょうだんをも言い合うほどの知合いである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
東雲しののめさんのきッさんは今日も流連ながすんだッてね」と、今一人の名山めいざんという花魁が言いかけて、顔を洗ッている自分の客の書生風の男の肩を押え、「お前さんもかえらないで、夕方までおいでなさいよ」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)