反間苦肉はんかんくにく)” の例文
反間苦肉はんかんくにくの密告が図星に当ったものであるが、むろん、これは卑怯とも何とも云いようのない所業しわざで、Wに対して弁解の余地は毛頭もうとうない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、それは表前うわべの事。日本左衛門の仲間の目にそう見せておく反間苦肉はんかんくにくというやつです。なんで、あなたを殺せましょうか。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
能舞台を芝居に担ぎ込んで来たる必要は更に見えず。殊に久次の乱行は反間苦肉はんかんくにくとの事なりしが、それにしては手討になる老臣粟田主膳といふ男こそいい面の皮なれ。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
で、かれ一りゅう反間苦肉はんかんくにくさくをほどこし、奇兵きへいをだして、躑躅ヶ崎の館をうばった。それは、伊那丸いなまるが京都へいっているあいだのできごとであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがしが立ち帰る折、主君信長様には、ひそかに自分を一室へ召されて、藤吉郎、そちは兵法の反間苦肉はんかんくにくということを知らぬな、というお叱言こごとなのだ。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その反間苦肉はんかんくにくをほどこした曹操のほうからみれば、いまや彼の軍は、西涼の馬超軍に対して、完全なる
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柴田をも難じておるので、柴田から出た流説るせつとは誰も思うまいが、それは皆、勝家がさせておる反間苦肉はんかんくにくてまちがいあるまい。大評議前の謀略戦じゃよ。小細工はやらせておけ。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その男の正体しょうたいが、小幡民部こばたみんぶであることはいうまでもない。なまじ町人すがたにばけたりなどすると、かえってさきが、ゆだんをしないと見て、生地きじのままの反間苦肉はんかんくにくがみごとに当った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは、敵のいた反間苦肉はんかんくにくのうわさ。根もない嘘ときまっている」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『そこが、反間苦肉はんかんくにくの計略だ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)