厭応いやおう)” の例文
自分を口説いて厭応いやおうなしに、このような計画の中へ引き入れた、土岐十郎頼兼や、多治見ノ四郎二郎国長が、いまさら怨めしく思われるのであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「俺が追ひだすのぢやなからうさ。戦争が厭応いやおうなしに追ひだしてしまふだらうな。命だつて、この頃の空襲の様子ぢや、あまり長持ちもしないやうな形勢だぜ」
戦争と一人の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
うっかり後口あとくちを廻ろうとして外へ出ると、待ち伏せしていた出先のお神に厭応いやおうなし持って行かれるというふうだったが、それでもたまにはひまを食うよいの口もあり
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
国語の教師として有望な人だったが、厭応いやおうなしに実業界へ入ったんだ。細君の親父さんが死んで、長男が未だ子供だから、後見人が必要ってことになった。仕事は蝙蝠傘こうもりがさの骨を拵える会社だ。
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
厭応いやおうなく、あの青年に押しつけてしまふに限る、と肚をきめてしまつたのだ。
波子 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「新太郎や、今月末には厭応いやおうなしだよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
厭応いやおうなしです。大分切りましたよ」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)