厭世観えんせいかん)” の例文
今のような有様では折角せっかく食物衛生を天下にすすめても厭世観えんせいかんや悲哀観の流行するため人の元気沮喪そそうして食物を消化吸収するの力なく
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
厭離一切娑婆世界おんりいっさいしゃばせかい厭世観えんせいかんは、ヘルンの多くの作品中に一貫いっかんして、その特殊とくしゅな文学情操の基調となってる。
あの年頃の青年に有勝ありがちの、妙な神経衰弱的厭世観えんせいかんに捕われていたのであろう。その前の年までは盛に山を歩いていたのだが、この夏休には、とても山に登る元気がない。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
ショオペンハウエルの厭世観えんせいかんの我我に与えた教訓もこう云うことではなかったであろうか?
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私は貧乏を意としない肉体質の思想があったので、雰囲気的な落伍者になることはなく、抒情的じょじょうてきな落伍者気分や厭世観えんせいかんはなかった。私は落伍者の意識が割合になかったのである。
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
この言訳はむろん彼一流の照れかくしで、そんな中に彼の科学者的冷静だのショーペンハウエル流の厭世観えんせいかんだのを探ろうとしたところで無駄だ。ただ単にこれは冗談なのである。
町へ帰ってから、長はみんなに「ザンバ」の話をして聞かせたが、それはその映画の製作者や提供会社の人たちが、厭世観えんせいかんにとらわれるだろうと思われるほど、辛辣しんらつであり無遠慮なものであった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
町へ帰ってから、長はみんなに「ザンバ」の話をして聞かせたが、それはその映画の製作者や提供会社の人たちが、厭世観えんせいかんにとらわれるだろうと思われるほど、辛辣しんらつであり無遠慮なものであった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ストリンドベルヒについて厭世観えんせいかんを発見したりするのである。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)