厚情こころざし)” の例文
あなたを大のご贔屓ひいきの、中坂下のお娘ごのお達引で、金子きんす珊瑚さんごかんざしの、ご心配はもうなくなりましたと申したのは、実は中洲、月村様のお厚情こころざし
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
胴づまりで肥った漢子おとこの、みじめなのが抜衣紋ぬきえもんになって、路地口の肴屋さかなやで、自分の見立てで、そのまぐろを刺身に、とあつらえ、塩鮭の切身を竹の皮でぶら下げてくれた厚情こころざしあだにしては済まないが
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「——ありがとう……厚くお礼を申上げる……唄と、馳走のお厚情こころざし、かさねて、ご挨拶を。これで、失礼——心なく、思わず長座をいたしました。何だか帰途かえりに一本松が見たくなりました。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)