厄介物やっかいもの)” の例文
彼ら自身即ち社会不調和の要素にして、彼らは如何なる時世においても、社会の治安と相容れざる厄介物やっかいものなり。切言すれば彼らは革命の卵子なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
最も恐るべき動機であり、最もどうにもできない理由だった、すなわちただきらいだから。「ぎゃあぎゃあ泣き立てる子供の厄介物やっかいものなんかはごめんだ、」
そう厄介船やっかいぶねと、八人の厄介やっかい船頭と、二十余人の厄介やっかい客とは、この一個の厄介物やっかいものの手にりてたすけられつつ、半時間ののちその命を拾いしなり。このいてめしいなる活大権現かつだいごんげんは何者ぞ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だからそこは一時さしおいても大したことはないでしょう。むしろ冀北きほく四ヵ国のほうが厄介物やっかいものです。袁紹没し、敗軍たびたびですが、なお三人の男あり、精兵百万、富財山をなしています。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもそれは恐ろしい伝染性の血を吐く危険な厄介物やっかいものでもあるのだ。朋友の間には畏敬いけいをもって迎えられる清逸だけれども、自分の家では掃除そうじ一つしようともしない怠け者になってしまうのだ。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
阿部に至りては、烈公の実に政治的大要素なるを看取したり、しこうして実に幕政の前途に横わる厄介物やっかいものなるを看取したり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
革命の風雲いまだ天下を動かすに足らずといえども、その智勇弁力ある封建社会の厄介物やっかいものたる——小数人士の脳裡のうりには、百万の人家簇擁そうようして、炊烟すいえん東海の天を蔽う、堂々たる大江戸も
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)