印物しるしもの)” の例文
今日が婚礼なので、門に高張たかはりを立て、店には緋の毛氈を敷いて金屏風をめぐらし、上下かみしもを着た番頭や印物しるしものを着た鳶頭かしらが忙しそうに出たり入ったりしている。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
孝「やい、何をしやアがるのだ、サア何奴どいつでも此奴こいつでも来い飯島の家来には死んだ者は一ぴきも居ねえぞ、お印物しるしものの提灯を燃やしてしまって、殿様に申訳もうしわけがないぞ」
供前ともまえさまたぐるのみならず、提灯を打落うちおとし、印物しるしものもやしましたから、憎い奴、手打にしようと思ったが、となりづからの中間ちゅうげんを切るでもないと我慢をしているうちに
うまく三津五郎だと見ぬいたひとには家紋入りの印物しるしものをくれるという噂が立っているンです。……金春町こんぱるまちのお兼の女髪結へ寄って見ましたが、なるほどたいへんな評判。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)