単身みひとつ)” の例文
旧字:單身
たとひ此の弾丸山を砕いてにするまでも、四辺しへんの光景単身みひとつてきがたきを知らぬでないから、桂木は呼吸いきを引いて、力なく媼の胸にひそんだが。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なぐれと、衆口一斉熱罵ねつば恫喝どうかつを極めたる、思い思いの叫声は、雑音意味も無きひびきとなりて、騒然としてかまびすしく、あわや身の上ぞと見る眼あやうき、ただ単身みひとつなる看護員は
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なぐれと、衆口一斉熱罵ねつば恫喝どうかつを極めたる、思ひ思ひの叫声は、雑音意味もなき響となりて、騒然としてかまびすしく、あはや身の上ぞと見る眼危き、唯単身みひとつなる看護員は、冷々然として椅子にりつ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)