北設楽きたしだら)” の例文
風花かざばなの空にちて、日和ひよりうららよとの。遠山は霜月祭、新野にひのにては睦月むつき西浦にしうれ田楽でんがく北設楽きたしだらは花祭とよの。さてもめでたや、雪祭のとりどり。
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
是についてさらに思い合わす一事例は、愛知県の東北隅、三州北設楽きたしだらの山村に、近い頃まで行われていた霜月神楽しもつきかぐらの中に、シラ山と称する奇特きとくなる行事があった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
愛知県北設楽きたしだら段嶺だみね村大字豊邦字笠井島の某という十歳ばかりの少年が、明治四十年ごろの旧九月三十日、すなわち神送かみおくりの日の夕方に、家の者が白餅しろもちを造るのに忙しい最中
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たとえば信州遠山とおやまでは、粟などのいて外皮をいたものもヨネである(方言六巻一号)。天竜川を越えて三河の北設楽きたしだら郡でも、稗、麦ともに皮をとってしらげることをヨネスルという。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)