かこ)” の例文
不意を打たれて芳は危く昏倒せんとして、僅に身を支へた、其處を、勝に乘じた群衆はなほ、執念強く、取りかこんで、凡そ息のある限り、滅多無性に打ちすゑんとする、刹那の急。
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
自分達のへやは地面の上の穴倉みたような所で、四方共頑丈がんじょうな建物だの厚い塗壁だのにかこまれて、縁の前の小さい中庭さえ比較的安全に見えたけれども、周囲一面から出る一種すさまじい音響は
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)