ひょう)” の例文
ひょうげた男じゃろ。こんなところへ訪ねて来おった。これはわたしと同じ村の生れでな、古馴染ふるなじみの男じゃ。どこぞへ置いて、いたわってやってくれ」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一肌一容いっきいちよう、体をつくし、研を究めようとも、彼は学んで而してこれをなし得るのではないから、示して以て能を誇るのでもない。いわんやてろうて以てひょうするものでないことは勿論である。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「色恋と、一口に、いってもれえたくねえんだ。そりゃ好きさ。好きでなけりゃ、出来る仕事けえ。だが、巾着切って、ひょうきん者さ——理窟はよそう。お嬢さん、あの富士春って、あっしの女、御存じでしょう」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
必死の声をしぼっているようでもあり、またどこかひょうきんな調子にも聞えないではない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)