剪裁せんさい)” の例文
次に清の嘉慶中に孫伯衍そんはくえん及鳳卿の輯校する所の「神農本草経」がある。是は唐氏証類本草に溯つてゐる。しかし編次剪裁せんさい杜撰づさんを免れない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
原文の仄起そっき平起ひょうきとしたり、平起を仄起としたり、原文の韻のあるのを無韻にしたり、或は原文にない形容詞や副詞を附けて、勝手に剪裁せんさいしている。
余が翻訳の標準 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
槖駝師うえきや剪裁せんさいの手を尽した小庭を通って、庫裡くりに行く。誰も居ない。尾の少しけたとしりた木魚と小槌こづちが掛けてある。二つ三つたゝいたが、一向出て来ぬ。四つ五つれよとたたく。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
特に嫩木わかぎを選んで植えたらしく、背丈も等しければ、丁寧に剪裁せんさいも施されているのであった——その並樹の左側から市街地へかけて見る眼もあやな一面の芝生の中に、大理石の美しい石膚を光らせて
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
玄機は才智にけた女であった。その詩には人に優れた剪裁せんさいたくみがあった。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)